労働関係法令の実態 残業時間や有給休暇について

労働関係法令の基礎知識」で書いているように、わが国には労働基準法など、従業員が働くための労働法令は比較的整備されています。ただし、これは法律上のことであって、その実態は多少異なります。就職活動において、企業側の多くは会社説明会で「有給休暇や残業時間などは、法律に準拠して行っています。」と説明しますが、これは建前です。そもそも説明会で法律に違反していることを公表するような会社はありません。ここでは、残業時間や有給休暇などについて、「法律では決まっているが、その実態はどうなっているのか」を説明します。

残業時間

労働基準法では、「原則として休憩時間を除き、1日8時間、1週間で40時間を超えて労働させてはならない。」と定めていますが、多くの企業では、1ヶ月平均30時間程度あります。ただし、これは平均であって、残業がない企業もありますし、100時間を超えるところもあります。そもそも小売業は残業が発生しやすい業種であるといえます。というのは、小売業は多くの店舗で営業時間が8時間以上で、労働基準法を遵守するならばフレックスタイム制などを正しく運用しないといけませんが、完璧に運用できているところはあまりないというのが実態です。それに小売業の多くはパートアルバイトで労働力をまかなっており、パートアルバイトが休んでしまったときにフォローするのは正社員です。特にコンビニエンスストアなど24時間営業の店舗や、正社員が少ない店舗(パート、アルバイト中心で運営している店舗)に勤めている人ほど残業時間が多い傾向にあります。

有給休暇

有給休暇は、「雇用開始の日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者には、有給休暇を付与しなければならない。」と定められており、大部分の企業で従業員に有給休暇を付与しています。ただし、実際にこれを利用できている人は、あまりおらず、実際には15日程度しか取得できていません。これも平均であって、24時間営業の店舗や、正社員が少ない店舗ほど取得状況が悪い傾向にあります。

有給の取得状況が良くない理由は、「周りの視線が気になる」というのが多いようです。というのは、自分が有給休暇で遊びに行っている時に周りの人は、仕事をしており、休んだ人の分もフォローしなければならないからです。上司や同僚も有給休暇を取得したいけれど、我慢している、という状況の中で有給を取得するのは、非常に勇気がいります。稀に、有給を完全に消化し続けている人を見かけますが、社員の中ではかなり浮いています。社員の中で浮くということは、だんだんと仕事を頼まれなくなくなりますし、そうなると経験も積めないので、スキルアップも図れません。つまり、間接的に昇進や給料に関係してくるのです。そのため、多くの社員が周りの視線が気になるのです。

ではどのようなときに有給休暇を取ることができるのかですが、多くの場合は遅刻や病気による欠勤で補填しています。また、夏季休暇として会社側が有給休暇を消化日を指定している会社もあります。つまり、有給休暇は自分が思うように取得できないのが実態です。

私見

私は残業時間が多いことや有給が取れないといったことは、就活の時にはあまり気にしても仕方が無いと考えています。というのは、これらの事項は、その会社に知り合いがいない限り就職前に実態を把握することができないからです。それにこういうことはどの業種にいっても多かれ少なかれあって、公務員でもありますしね。残業が嫌なら自営業をするしかありません。特に学生が気になるサービス残業についてもどの業種でも同じです。

考え方を変えてみると気にならなくなる!

残業時間が多い、有給の取得状況が悪いというのは考え方を変えるとそれだけ経験を積むことができるということです。

上司や周りの社員は、あなたの頑張りを見ています。

また上司は、定時に退社する社員や有給休暇を完全に消化する社員より、頑張っている社員に仕事を与えます。仕事には期限があるため、勤務時間を気にせず働いてくれる部下に仕事を与えるほうが安心であるからです。上司もその上司に評価されるため、仕事が中途半端なのに勤務時間が終わったから退社する、有給休暇で休むというようでは、上司は不安で仕方がありません。

仕事では上司からどのように見られているかということが大切

では仕事をしっかりをして定時に退社し、有給も取得すればよいのではないか、と考える人がいると思います。ここで大切なことは、仕事では周り(上司)からどのように見られているかということが非常に大切なのです。上司から頼まれた仕事を上司の思うような結果にならなかったとき、残業をしてできなかった場合と、定時に帰ってできなかった場合とでは、同じ結果であっても印象は全く違います。それに多くの人は他人の評価をポイント(一時点)で判断します。例えば、勤務時間中に携帯電話で遊んでいるところを見た→不真面目、上司に怒られているところをみた→仕事ができない、など。そうなると周りからの信頼も失い、仕事を頼まれなくなりスキルアップできなくなります。

残業をして、有給を取るべきではない、というわけではない

ここまでのことを読むと「残業をして有給は取るべきではない」というように感じる人がいるかもしれませんが、そういうわけではありません。上司や周りの社員と同じくらい又はそれより少なめにした方が良いということです。仕事は複数の人と一緒にします。自分が有給を取ればその分だけ周りに負担がかかるわけで、ただでさえ役に立たない新入社員が有給でさらに迷惑をかけるというのは一般的に良いとは思われないはずです。法律論でいうと有給は従業員の権利ですが、社会人のマナーからすると周りに迷惑にならない・周りが不快に感じない程度で取得するべきです。

残業や有給で人間関係がこじれない程度にしましょう。

スポンサーリンク

関連記事

流通業界唯一の公的資格 販売士

販売士(リテールマーケティング)検定は流通業界唯一の公的資格です。就活などで役立つことから販売士3級受験生の多くが大学生、短大生、高校生等の学生になっており、合格率も約60%!実際の合格率は約80%です。就活での役立ちポイントの割に難易度が低いため一定の人気がある資格のひとつです。
販売士の勉強法、おすすめ本などはこちらから 販売士講師が運営「販売士と就活で役立つ資格

スポンサーリンク

ページ上部へ戻る