コンビニ業界などで広く採用されているフランチャイズ制度。どうしてフランチャイズはこのように普及したのでしょうか?フランチャイズビジネスとは、フランチャイジー(加盟店)がフランチャイザー(本部)に金銭を支払うことにより、フランチャイザーから一定の権利を付与されるビジネスをいいます。
フランチャイズとは
フランチャイズビジネスとは、アメリカで考えられたものでフランチャイジー(加盟店)がフランチャイザー(本部)に金銭を支払うことにより、フランチャイザーから一定の権利を付与されるビジネスをいいます。
フランチャイズビジネスが今日のように普及したのは、フランチャイザーとフランチャイジーの双方にメリットがあるからです。以下ではそれらについて説明していきます。
フランチャイザー(本部)のメリット
フランチャイザー(本部)のメリットには次のようなものがあります。
- 少ない資金で店舗数を拡大できる
- 店舗数拡大によるスケールメリットがある
- 人件費を削減できる
1.少ない資金で店舗数を拡大できる
通常、店舗を新規出店しようと思えば、会社が土地、建物、什器備品、人材をそろえる必要があるため、一定の費用が生じます。そのため、店舗数を増やそうと思えばそれなりにお金が必要になりますが、これをフランチャイズ方式で行うとフランチャイジー(加盟店)側がこれらの費用を負担するため、会社の資金が多くなくても短期間で大量出店することができます。
2.店舗数拡大によるスケールメリットがある
一般的に、フランチャイズ方式を採用すると自己資金で店舗数を増やすよりも多くの店を出店することができます。店舗数が多くなるということは、それだけ仕入量が増加するということです。その結果、取引先対する発言力が増し、仕入単価の引下げなど有利な条件で契約することができるようになります。また、広告宣伝費についても一店あたりのコストを削減することができます。同じ地域の広告の場合であれば複数店舗で共同広告にすることができます。さらに店舗数が増えるということは、それだけノウハウを蓄積できることにも繋がります。
3.人件費を削減できる
フランチャイズ方式では、店舗で働く人は、もちろんフランチャイザー(本部)の社員ではありません。店舗のオーナーや店長はフランチャイジー(加盟店)の人間であり、フランチャイザーとの雇用関係はありません。同じように、店舗スタッフについてもフランチャイジーが募集し雇用するため、フランチャイザーとの雇用関係はありません。つまり、フランチャイザーは人を採用し、教育する必要がないので、給料や福利厚生費、退職金を支払う必要がありません。
フランチャイジー(加盟店)のメリット
フランチャイジー(加盟店)側のメリットには次のようなものがあります。
- 経験やノウハウがなくても本部から指導を受けることができるためリスクが小さい
- 知名度の高い看板を掲げることができる
- 知名度のある商品を仕入れることができる
- 広告宣伝費が割安
1.経験やノウハウがなくても本部から指導を受けることができるためリスクが小さい
商売をするということは、当然ですが失敗するリスクもあります。開業後3年以内に70%以上の会社が倒産しているというデータもありますし、それだけ商売を継続するというのは難しいことなのです。フランチャイザー(本部)には豊富な経験とノウハウがあるため、フランチャイジー(加盟店)に経験やノウハウがなくても本部から丁寧に指導を受けることができるので倒産リスクが軽減させることができます。
2.知名度の高い看板を掲げることができる
新しい地域で新規出店をする場合、ほとんどの場合で地域での認知度は高くありません。これに対してフランチャイズ方式を採用している事業は一般的にはある程度の知名度がある会社が多いので、新しい地域での出店であっても商売を始めやすい。
3.知名度のある商品を仕入れることができる
自分で店舗を立ち上げた場合で苦労するのが仕入ルートの確保です。いくら立地が良くても良い商品を仕入れることができなければ意味がありません。良い仕入先と取引をしようと思えば、店舗にそれなりの実績がなければ取引をしてもらえません。たとえ大手メーカーと取引できたとしても大手小売店とは違い、仕入数量が小さいため、仕入単価が高いなど仕入条件が悪い傾向にあります。これに対して、フランチャイズ方式の場合は、一般的にフランチャイジー(加盟店)は仕入業者と直接取引きする必要はなく、フランチャイザー(本部)が安定した仕入先・商品を用意してくれます。
4.広告宣伝費が割安
自分ひとりででお店を経営する場合、広告ひとつするにも一定のお金が必要になります。テレビ広告なんて夢のような話です。これに対して、フランチャイズ方式の場合は、複数のフランチャイジーが共同で広告するため、比較的大きな広告ができるようになります。コンビニなどの大手フランチャイズであればテレビCMもしています。あれだけのCMは個人ではできません。
フランチャイズビジネスは双方にメリットがある
このようにフランチャイズビジネスは、フランチャイザーとフランチャイジーの双方に利益があるのです。ただし、フランチャイズビジネスが万能というわけではありません。次はフランチャイズビジネスのデメリットについても説明します。
フランチャイザー(本部)のデメリット
フランチャイザー(本部)側のデメリットには次のようなものがあります。
- 加盟店管理が難しい
- 利益率が低い
1.加盟店管理が難しい
フランチャイジー(加盟店)には色んな人がいます。商売が得意な人もいれば苦手な人もいます。なかには勝手に別ルートで商品を仕入れたり、別ルートで販売したりすることもあります。フランチャイズビジネスは、本部と加盟店の全体で運営しているビジネスです。1加盟店の勝手な行動により全加盟店が影響を受けるということもありえます。
例えば、ある加盟店が賞味期限の改ざんをしていたとします。それが判明し、マスコミなどのメディアで取り上げられてしまうと一大事件です。消費者からすると、その不祥事を起こした店もその他の店も同じ看板を掲げているので同じお店であると認識されてしまう恐れがあります。そうなると真面目に商売をしているお店にも大きな不利益を受けることになり、加盟店から損害賠償の責任が発生する恐れがあります。
2.利益率が低い
フランチャイズビジネスでは、フランチャイザー(本部)は出店コストを抑えることができますが、売上は実際に本部が販売するわけではなく、フランチャイジー(加盟店)が販売した売上の一部をロイヤリティという形で受け取ります。そのため自社で出店する場合に比べて利益率が低くなりやすいと言われています。ロイヤリティを高めるとフランチャイジーの生活が維持できなくなりますし、フランチャイジーが稼ぐ利益の一部を本部が貰うというビジネスが本来のフランチャイズ方式で、利益の一部を貰うということは自分で稼ぐ場合よりも利益率が悪くなるのはわかると思います。
フランチャイジー(加盟店)のデメリット
フランチャイザー(本部)側のデメリットには次のようなものがあります。
- 自由な経営ができない
- 契約条件が悪い事がある
1.自由な経営ができない
フランチャイズビジネスは、本部と加盟店の全体で運営しているビジネスです。個人事業とはいえ、あくまでフランチャイザーとの契約の下、フランチャイザーの指導を受けて商売をしなければなりません。販売方法、取扱商品、制服、営業時間まで細かく定めているところもあります。そのため、いくら良い商品やアイデアがあっても取り入れることができないことがあります。
2.契約条件が悪い事がある
フランチャイザーとの契約は、個人対会社です。そのため個人であるフランチャイジーは一般的に地位が低い傾向にあります。例えば、売上が少なくても必ず一定額のロイヤリティは支払わなければならなかったり、フランチャイザーの指導通りにならなかった場合には半強制的に閉店させられたり、契約終了後には同業種を営業できなかったりといったこともあるそうです。そのため最近では、フランチャイジー同士の組合をつくって条件交渉をしているようです。
フランチャイズビジネスはどうして普及したのか
このように一見万能に思えるフランチャイズビジネスにも一定のデメリットがあるのにも関わらず、どうしてこれほどまでにフランチャイズビジネスは普及したのでしょうか。
それは、お店を始めるというのはとてもリスクのあることで、ニーズはあるのか、競争は厳しくないか、仕入先はどうするか、確定申告はどうするかなど雇われてお店で働いている場合とはやらなければならない範囲が格段に増えます。一人で全てを決定するのは非常に大変で勇気がいります。それに経営者の多くは孤独です。お店を出すということは、その地域の同業店はライバル店で、もし商売で悩んだ場合にライバルが適切なアドバイスをしてくれると思いますか?自分で商売をするということは、「自分で行動し、自分で責任を取るということ」というのは分かっていても、できれば誰かの指導を受けたり、相談をしたりしたいと思うのは当然です。
フランチャイズビジネスはこういった人のニーズを満たすビジネスです。特に経営の経験が乏しい人の場合にはフランチャイザーのサポートは大きな助けになるはずです。このようにフランチャイズビジネスには多少のデメリットはあるものの、不安要素や手間を解消してくれるメリットを考えるとメリットの方が大きいため、これだけ普及してきました。
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