労働関係法令の基礎知識

就職するにあたって気になるのが休日日数や有給休暇についてという方も多いと思います。ただ、面接などでこれらのことについて触れることは、あまり良いと言えません。入社前から時間外労働や有給休暇について細かく質問しているようでは、働く意欲があるのかどうか疑問に思われても仕方がありません。そこでここでは、就職にあたって最低限知っておくべき労働関係法令の基礎知識について説明します。ただし、これはあくまでも法律に基づくものであって、実態は多くの企業で異なります。あまり「法律、法律…」とならないように気をつけてください。

労働契約の効力

労働基準法で定める基準に満たない労働条件を定める労働契約は無効(労働基準法第13条)

労働条件の明示

雇用者は、労働者を採用するときは次の項目を明示しなければなりません。

必ず明示しなければならない項目

  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所・従事する業務の内容
  3. 始業・就業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務させる場合には就業時転換に関する事項
  4. 賃金の決定、計算、支払いの方法、賃金の締切り、支払いの時期に関する事項
  5. 退職に関する事項
  6. 昇給に関する事項

定めた場合に明示しなければならない項目

  1. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
  2. 臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
  3. 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
  4. 安全衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償、業務外の疾病扶助に関する事項
  7. 表彰、制裁に関する事項
  8. 休職に関する事項

賃金に関する事項

最低賃金について(最低賃金法第4条)

労働者には、最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。詳細は、各地域の労働局賃金課又は労働基準監督署にご確認下さい。

解雇など

解雇の無効(労働契約法第16条)

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、権利の乱用として無効になります。具体的には、配置転換や適切な職業訓練を行ったかどうかなどの条件を満たさなければなりません。

解雇制限(労働基準法第19条)

業務上の疾病や産前産後による休業期間及びその後の30日間は、原則として解雇できない。

解雇の予告(労働基準法第20条)

労働者を解雇する場合には、30日以上前に解雇予告するか30日分の解雇予告手当を支払わなければなりません。

退職時の証明、解雇理由の証明

労働者が退職、解雇時に在職中の契約内容や解雇理由などの証明書を請求したときは、遅滞なく証明書を交付しなければならず、労働者が請求しない事項は記入してはならない。

労働時間

原則として休憩時間を除き、1日8時間、1週間で40時間を超えて労働させてはならない。ただし、10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業は44時間を超えて労働させてはならない。(労働基準法第32条)一定要件を満たせばフレックスタイム制などの変形労働時間制が認められています。

休憩

労働時間が6時間を超える場合には45分、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を労働時間の途中に与えなければならない。(労働基準法第34条)

休日

最低週に1日、又は、4週間を通じて4日の休日を与えなければならない。(労働基準法第35条)

年次有給休暇

雇用開始の日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全所定労働日の8割以上出勤した労働者には、有給休暇を付与しなければならない。労働者には、パート、アルバイトを含む。(労働基準法第39条)

勤務期間 付与日数
6ヶ月 10日
1年6ヶ月 11日
2年6ヶ月 12日
3年6ヶ月 14日
4年6ヶ月 16日
5年6ヶ月 18日
6年6ヶ月~ 20日

時間外労働等について

時間外又は法定休日に労働させる場合には、労働代表者と労使協定を締結して事前に所轄労働基準監督署に届出なければなりません。(労働基準法第36条)

割増賃金

時間外労働・深夜労働(原則午後10時から午前5時) … 通常の賃金の2割5分以上

法定休日労働

通常賃金の3割以上

妊産婦について

妊産婦が請求した場合には、残業をさせてはならない。なお、産前産後の休暇規定あり。原則として産前6週間、産後8週間。

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